猫が棚へのジャンプを2〜3回しくじって、しれっと成功するくらいの時間で読めます(5分)

前回、賢い赤ちゃんに「手」を持たせました。今回はその手で、「一発で終わらせず、自分で試して直す」話です。むずかしく言うと「ループ制御」。でも、猫が冷蔵庫の上にひょいと飛び乗るのを見たことがあれば、もう半分わかっています。今日も、ぜんぶ日常語にほどいていきます。迷子のみなさんに届きますように。
ハーネスは4つの装具でした。前回ひとつめ「手(ツール接続)」のランプを点けました。今日はふたつめ、「一度で終わらせない」にいきます。
猫が高い棚や冷蔵庫の上に飛び乗るところを、思い出してみてください。猫は、いきなり飛びません。まず見上げて、距離を測る。お尻をフリフリして、照準を合わせる。それから飛ぶ。もし少し足りなかったり、着地がズレたりしたら、次はもっと強く蹴る。そして数回のうちに、必ず決めます。
この一連の動きが、そのまま「ループ」です。測る → 飛ぶ → ズレを見る → 直す → また飛ぶ。猫は、一回目の失敗を恥ずかしがりません。「ちっ」みたいな顔はしますが、淡々と直して、次で決める。この潔さが、ループのいちばん大事なところです。
AIに仕事をさせるときも、同じことをします。実行する → 結果を見る → 直す → また実行する。これをAI自身にくり返させる。一回目で完璧を求めない。これが「ループ制御」です。
研究の世界では、これは古くからある考え方で、「考えること(Reason)と動くこと(Act)を、交互にやらせる」のが効く、と整理されています[2]。猫が「見て(考える)→飛ぶ(動く)→また見て→また飛ぶ」をやっているのと、そっくりです。前回も触れたように、世間で「loop(ループ)」とか「ループエンジニアリング」と呼ばれているのは、この部分のことです。
僕が Claude Code でやっていることの大半は、このループに乗っかっています。
「こういう作業を自動化して」と頼むと、AIが作って → 動かして → エラーが出て → そのエラーを自分で読んで直して → また動かす。僕は基本、見ているだけ。猫のジャンプを横で眺めている感じです。
不具合が出たら、症状から「どこが怪しいか」の仮説を立てて → 試して → 違ったら次の仮説。当てずっぽうではなく、1つずつ潰していくループです。
情報を集める → 下書きを書く → 自分で読み返してチェック → 直す。この巡回を、毎朝勝手に回しておいてもらいます。
「プロンプトすら書かずにループを回す」と言われるのは、ここです。細かい指示を毎回出すのではなく、ゴールだけ伝えて、あとはAIに輪を回させる。Anthropic も、エージェントを「自分のプロセスとツールの使い方を、自分で方向づける存在」だと説明しています[1]。猫に「冷蔵庫の上に乗りたいんだよね」とだけ伝えて、あとは本人に任せる、みたいなものです[3]。
むずかしそうな「ループ制御」も、ほどいてみれば「猫のジャンプ」でした。一発で完璧を狙わず、試して、ズレを見て、直して、また試す。これをAI自身にやらせる。これでハーネスの2つめのランプが点きます。
手を持って、自分で試して直せるようになった赤ちゃんは、もうかなり頼もしい。でも、机の上が散らかっていると、せっかくのループも空回りします。次回は、その「机の上」をどう整えるか。今日も、ここまで読んでくれてありがとうございます。まだまだ道の途中、一緒にゆっくり進みましょう。
毎日くり返している確認・修正の往復は、たいていループに乗せられます。どの作業をAIに回させられそうか、一緒に棚卸しするところから始められます。気軽に声をかけてください。